エビデンス
『左股関節の回旋がダウンスイング初期であるのに対し、体幹の回旋はダウンスイング終盤である。』
研究グループ
Mun et al.2015
左股関節と体幹の捻転差
前回と同様にX-factorについて、股関節と体幹の回旋についての報告です。トッププロのスイングをテレビやユーチューブでみていると、骨盤が回旋してから胸が回旋しているのがよく分かります。連続写真でもどうやったらそんな向きになるの?と思うぐらい骨盤と胸が反対方向を向いています。この骨盤と胸郭の捻転差がX-factorなわけですが、可動域だけでなく、タイミングやスピードが重要となります。
2段階の加速
この研究ではダウンスイングの初期(早い段階)で左股関節が回旋し、体幹の回旋はダウンスイングの終盤(インパクトの近く)で回旋したとのことです。左股関節の回旋、すなわち骨盤の回旋によって一回目の加速が起こり、さらに体幹を回旋させることで二回目の加速が起こるというイメージです。体幹の回旋中にインパクトがあるわけですから、体幹の回旋がインパクトの直前に起こるのは当然です。一方、多くの初心者の方が体幹の回旋ではなく腕を器用に動かして加速させています。プレーンに乗らず、フェースも開いたり閉じたりしてしまうため修正が困難となります。
床反力とX-factor
さて、一回目の加速に関しては、左足の踏み込みによる床反力を利用しています。地面をしっかり踏み込むことで力が生まれ、足関節、膝関節、股関節へと伝わります。股関節が内旋(内側への回旋)することで、骨盤が回旋します。二回目の加速に関しては骨盤がロックした状態となる必要があります。いわゆる左の壁と言われるものです。これにより体幹の回旋が生まれます。大きくなったX-factorを一気に捻じり戻すことでボールをインパクトします。
捻転差のタイミング
如何に左股関節を回旋させておいて、胸が開かないように我慢できるかが重要なポイントとなります。一瞬のタイミングですが、ゆっくりでも良いのでこの順番が守れるように動作を練習する必要があります。このタイミングが完全に身につけば飛距離アップ、曲がり幅の縮小は間違いなしといえます。まずはストレッチによりX-factorを大きくできるような可動域を身につけましょう。