エビデンス
『変形性肩関節症による人工肩関節置換術後、ドライバー飛距離12.5ヤード増大、スコア1.4の改善。』
研究グループ
Papaliodis et al.2015
人工肩関節置換術
人工肩関節置換術に関してはNo.84人工肩関節置換術の種類による違いで紹介しましたが、肩関節が変形して動かなくなった場合や、転倒などによる骨折で骨が細かく割れてしまった場合などに施されます。さて、ゴルフをされていて、なかなか肩痛が治らないという方もみえるかと思います。過去に関節周囲の損傷を起こしたことがある方は、関節面の変形に気をつけなければなりません。膝関節や股関節など荷重のかかる関節に比べれば少数ですが、肩関節も関節面の変形が起こります。変形があると可動域の制限だけでなく、関節痛を生じてしまいます。日常生活に支障をきたす程の変形がある場合や、転倒などにより上腕骨がいくつにも砕けてしまった方も人工肩関節の適応になります。
人工肩関節でもゴルフができる
人工肩関節になってしまい、もう今まで通りのゴルフができないのかと落胆する必要はありません。腕の骨の部分を人工の骨に置き換える半肩関節形成術や、腕の骨と肩甲骨の両方を人工の骨に置き換える人工肩関節全置換術はゴルフが許可されることが多いようです。ただし、腕の骨の部分を受け皿にして肩甲骨を球状にした人工逆肩関節全置換術では、受傷前に十分なゴルフ経験がなければ復帰が許可されないようです。今回の研究では変形により痛みがあった頃(手術前)に比べ、人工肩関節置換術後にドライバーの飛距離、スコアともに改善がみられています。痛みも全くないわけではないが、改善がみられているようです。
リハビリやケアが重要
ただし、あくまでも人工物を入れる手術です。ドクターと相談して、良い情報も悪い情報もたくさん入れてから決めなければなりません。趣味でゴルフをしているというのは重要な情報の一つになりますので、臆せずドクターにしっかりと伝えるようにしましょう。もちろん、変形を起こさないようにすることや、転倒をしないようにすることが最も重要です。今は全く関節に問題がない方も、予防のためにできることをしっかりやっていきましょう。肩関節のケアとしては三角筋や大胸筋などのアウターマッスルのストレッチと、ローテーターカフと呼ばれるインナーマッスルの強化が特に重要です。ストレッチは是非NOVASTストレッチを毎日実践してください。