エビデンス
『初心者ゴルファーに対して、上級者のスイングをただ見せるよりも要点に色をつけたビデオを見せた方が効果的。』
研究グループ
D’Innocenzo et al.2016
ゴルフでも守破離が大切
どのスポーツにおいても、上手い人のプレースタイルを真似するのが上達の近道と言えます。日本の武道でも昔から『守破離』を原則として指導されています。『守』の段階では型を完全に真似するところから始まります。次に『破』の段階で自身の得意とする分野を伸ばすことで個性が生まれます。最後に『離』の段階で師から離れ、新たな流派として独立することができます。ゴルフにおいても、誰しもがプロの美しいスイングをイメージして練習をします。少し上級者になるとアドレス、テイクバック、トップ、ダウンスイング、インパクト、フォロー、フィニッシュの各相において注意ができるようになります。
各相における要点に色をつける
今回の研究ではプロのスイングをただ見せるよりも、要点に色をつけた方が初心者の上達につながったということでした。当然のような気もしますが、初心者の段階ではどこに気をつけてスイングをすれば、上級者のようなスイングになるのかが分からないということです。例えば、アドレスではつま先の向き、肩の高さ、膝と股関節の屈曲角度、体幹の傾斜角度、グリップの形など、初心者は注意が向きません。ただ何となく前かがみでクラブを振るのだというぐらいの認識です。ただぼんやり見てるだけよりも、確実に意識してポイントをチェックした方が学習になるのは当然の結果と言えます。
スーパースローで確認する
最近はインパクトの形もスーパースローで詳細に分かります。プロゴルファーではインパクトのタイミングで腰が切れていない(リード側股関節の内旋しきっていない)選手などいません。それなのに、初心者の方にインパクトの形を作るように言うと腰を切り忘れ、手元だけを作ってしまいます。これはプロのスイングの股関節を意識的にみていないからと言えます。初心者の方でもスイングをスーパースローで撮影して、どこがどう違うのかをチェックすればスイングフォームがきれいになるのは間違いありません。
フィジカルの違い注意する
ただし、身長も違えば、クラブも違うし、関節の可動域だって違います。どこがどう違うのかが分かったら、それがなぜ違うのかを考える必要があります。ここにクラブの知識や身体の知識が必要になってきます。ライ角ひとつ合わせるのにも、クラブの長さ膝や股関節の角度、体幹の前傾角度が違うから、全く同じようにはなりません。特に海外の選手はみんな伸張が高く、クラブ長やライ角も調整している選手が多いかと思います。ある程度、『守』の部分が固まったら次は『破』の段階に移ってゴルフを楽しむことが重要と言えます。