【ゴルフトレーニングの科学的根拠No.123】股関節唇損傷の関節鏡手術とゴルフ



エビデンス




股関節唇損傷の術前と比較して術後ではパーオン率に有意差はなく、ドライバーの飛距離は有意に改善。』




研究グループ




Newman et al.2016




股関節唇損傷とFAI




 股関節には関節唇というものがあり、関節の受け皿(臼蓋)のまわりについている軟骨組織です。関節を深くして安定性に貢献しています。一方、股関節がグラグラになったり、過剰に動きすぎたりすると骨盤と大腿骨によって関節唇が挟み込まれることがあります。こうした骨と骨による衝突や、関節唇などの組織が挟み込まれることをインピンジメントと言います。特に股関節のインピンジメントのことをFAI(Femoroacetabular Impingement)と言い、ゴルファーに限らず多くの方にみられる症状です。軟骨組織ですので、自然治癒の期待が少なく、パフォーマンスに影響が出る程大きな損傷だと関節鏡を用いた切除術、または再建術の適応となります。




PGA選手の股関節唇損傷




 今回の研究では股関節唇損傷を起こしたPGAの選手20名に対して関節鏡を用いて手術を行い、術前の2年間と、術後1、2、5年後のパーオン率とドライバーの飛距離を集計したようです。結果は術前と術後のパーオン率は維持、ドライバーの飛距離に関しては有意に増大しているということでした。痛みがなくなり、しっかりリード側の股関節に荷重ができるようになって飛距離が伸びた可能性があります。PGA選手ですので、そもそもパーオン率が高いのは簡単に想像できますが、術前、術後回復期、術後維持期と変化がないというのも驚きです。




股関節唇損傷を予防するためには




 関節唇損傷は一般的な疾患ですが、ゴルファーにとっては腰を切るために重要な股関節の運動制限は非常に辛い状態です。負担の少ない関節鏡手術で良くなるのであれば安心です。とは言え、そもそも関節唇を痛めないようにすることが重要です。それには股関節がグラグラにならないようにしなければなりません。アウターマッスルである大殿筋や大腰筋は柔軟にして、インナーマッスルである股関節外旋六筋や腸骨筋はしっかり働かせるようにすることが重要です。日々のコツコツとしたストレッチやインナーマッスルトレーニングの習慣化がお勧めです。