ゴルフ腰痛は背筋の使いすぎ?正しい改善手順を理学療法士が解説

「バックスイングで腰に張りを感じる」
「ラウンド後半になると腰が痛くてスイングが崩れる」

もしあなたがこのような悩みを抱えているなら、それは単なる筋力不足や柔軟性の問題ではないかもしれません。実は、スイング中の「筋肉が動く順番」が狂っていることが、腰痛の根本的な原因であるケースが非常に多いのです。

この記事では、理学療法士としての専門知識と実際の研究データに基づき、腰痛ゴルファーの体の中で一体何が起きているのか、そしてどうすれば痛みのない力強いスイングを取り戻せるのかを解説します。

科学的根拠:研究データの解説

エビデンス

『腰痛ゴルファーはバックスイングにおいて脊柱起立筋が早期に活動』
— Cole et al.2008b

このデータが示している事実は衝撃的です。簡単に言えば、腰痛持ちのゴルファーほど、バックスイングの初期段階で「背中の筋肉(脊柱起立筋)」を過剰に使ってしまっているということです。

本来、スイング動作を開始する直前には、身体の深層にある「インナーマッスル(腹横筋など)」が先にスイッチオンになり、腰椎をガチっと安定させる必要があります。この土台ができて初めて、表面の大きな筋肉(アウターマッスル)が動くのが理想的な順番です。

しかし、腰痛ゴルファーはこのインナーマッスルの反応が遅れてしまっています。サボっているインナーマッスルの代わりに、背中の筋肉が「俺がなんとか支えなきゃ!」と無理をして過剰に働いてしまっているのです。これでは腰が悲鳴を上げるのも無理はありません。

過剰な「反り」をリセットする

まず取り組むべきは、働きすぎてパンパンに張った背中の筋肉(脊柱起立筋)を緩めてあげることです。しかし、硬くなった筋肉を強い力でグリグリと押し潰すのは逆効果です。筋肉が防御反応を起こし、余計に硬くなってしまう恐れがあるからです。

理学療法士として推奨するのは、四つん這いで背中を丸める「キャットバック」というエクササイズです。強制的に働いてしまっている背中の筋肉を、呼吸に合わせてゆっくりと伸ばし、過剰な緊張をリセットします。安全かつ効果的に背中を緩めるための基本です。

厚手のヨガマット(トレーニングマット)

キャットバックは膝をついて行うため、フローリングの上で直接行うと膝を痛める原因になります。リラックスして正しいフォームで背中を緩めるためには、クッション性の高い厚手のマットが必須です。ゴルフの練習前や寝る前のケアスペースとして、一枚敷いておくことを強くおすすめします。
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サボっている「インナーマッスル」を覚醒させる

背中の緊張が緩んだら、次はいよいよ本丸である「インナーマッスル」の教育です。記事内のデータに基づくと、腰痛予防とパフォーマンスアップの鍵は「アウターマッスルよりも先にインナーマッスルを使う」という順番を守ることです。

具体的には「お腹を凹ませる(ドローイン)」動作が有効ですが、ただ凹ませるだけでは感覚が掴みにくいのが難点です。そこで役立つのが、不安定な環境を作り出すツールです。不安定な場所で姿勢を保とうとすると、脳は無意識に身体を安定させようとし、自然とインナーマッスルのスイッチが入ります。

バランスボール

「ただ座るだけ」でも、グラグラするボールの上で姿勢を保つために、深層のインナーマッスルが強制的に動員されます。デスクワーク中やテレビを見ながら座り、軽くお腹を凹ませる意識を持つだけで、腰を守る天然のコルセット(腹横筋)が鍛えられます。地味ですが、腰痛ゴルファーにとってこれほど理にかなったトレーニングはありません。
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まとめ

腰痛は「背筋が弱いから」起こるのではなく、「背筋を使いすぎているから」起こるという事実は、多くのゴルファーにとって盲点だったのではないでしょうか。

大切なのは、ガムシャラに筋トレをすることではなく、「インナーマッスルで支えてから、アウターマッスルで動く」という正しい順序を身体に思い出させることです。まずはヨガマットの上で優しく背中を丸め、眠っているお腹の奥の筋肉を目覚めさせてあげてください。その小さな習慣の積み重ねが、痛みなく18ホールを回りきる身体と、力強いスイングへと繋がっていきます。

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