エビデンス
『肩痛のあるゴルファーは、健常なゴルファーに比べヘッドスピードが遅い。』
研究グループ
Ostreicher et al.2013
インピンジメント症候群
ゴルファーの肩痛の多くはインピンジメント症候群といわれるものです。肩甲骨の屋根の部分と腕の骨の頭の部分が狭くなり、挙上した際に間にある組織を挟みこむ肩峰下インピンジメントのパターンと、腕の骨の位置が中心にいないために、肩を回旋させた際に関節周囲の組織を挟み込むインターナルインピンジメントのパターンの二通りが考えられます。いずれも体幹に対して腕を動かしすぎるオーバースイングの方に多いかと思いますが、加齢に伴って肩甲骨や肩関節の可動域が制限されている方でも起こり得る可能性があります。
ヘッドスピードとインピンジメント
今回の研究は、このインピンジメント症候群のあるゴルファーと、そうでないゴルファーのヘッドスピードを比較したものです。やはり痛みがあるゴルファーはヘッドスピードが遅いという結果でした。
痛めるようなスイングが予想される
この研究では痛みがあるから遅いのか、スピードが出ないような振り方だから痛くなったのかということまでは分かりません。遅くなった原因も痛いからなのか、周囲の筋肉が弱いからなのか、柔軟性がないからなのか、ということも分かりません。ただ、予想できることは、オーバースイングを繰り返したり、胸郭や肩甲骨の柔軟性が低下していたり、肩関節を安定させる筋肉(ローテーターカフ)が弱っていればインピンジメント(組織の挟み込まれ)が起こるし、そのような状態ではヘッドスピードが出るわけがないということです。
ストレッチとインナーマッスル強化
胸郭や肩甲骨の柔軟性低下に対しては毎日のストレッチが肝要です。肩関節の不安定性がある方はインナーマッスルを強化することで改善が見込めます。肩痛がなければヘッドスピードが速くなる可能性もあることから、既に痛みのある方はしっかりリハビリに専念するべきですし、痛みのない方も予防としてストレッチやインナーマッスル強化をするべきです。ヘッドスピードを速くするためには、速く振ろうとするよりもこうしたフィジカルパフォーマンスを高めることが重要となります。