「インパクトで体を側屈させる動きは腰に悪いのではないか?」
ゴルフスイングの解析が進む中で、このような疑問を持つゴルファーが増えています。特に「クランチファクター」と呼ばれる、体を弓なりにしならせる動きは、飛距離を生む一方で腰への負担が懸念されがちです。
理学療法士の中村直樹です。今回は、この「クランチファクター」と「腰痛」の関連性について、興味深い研究データを基に解説します。腰を守りながら飛ばしたい方は、ぜひ最後までお読みください。
科学的根拠:研究データの解説
エビデンス
PGAツアープロのスイングをスーパースローで見ると、インパクトで骨盤と胸郭がねじれつつ、ボール側へ側屈する「クランチファクター」という動きが確認できます。従来、これは腰痛の主要因と考えられてきました。
しかし、上記のエビデンスが示す通り、腰痛のあるゴルファーとそうでないゴルファーを比較しても、この動きの大きさに統計的な差は見られませんでした。つまり、「クランチファクターが大きいから必ず腰痛になる」という単純な図式は成立しないということです。
腰痛の原因はスイングだけではない
研究結果から分かるのは、腰痛とクランチファクターが必ずしも直結しないという事実です。腰痛の生涯有病率は約80%と言われており、その原因はスイングフォーム以外にも多岐にわたります。
例えば、股関節の可動域制限や仙腸関節の緩み、あるいは日常生活での姿勢などが複雑に絡み合っているケースがほとんどです。スイングの形だけを気にするのではなく、自分の身体機能全体を見直すことが、根本的な解決への近道です。
身体のメンテナンスに「ストレッチポール」
飛距離のための「正しい」クランチファクター
腰痛の原因ではないとしても、無理な動きは禁物です。しかし、クランチファクター自体は、Xファクター(捻転差)と同様に、飛距離を生み出すための重要な「タメ」の要素でもあります。
手首だけでタメを作るのではなく、体幹の回旋と側屈を組み合わせて大きなパワーを生むことが理想です。そのためには、無理やり体を曲げるのではなく、その動きに耐えうる「柔軟な体幹」を獲得することが必須条件となります。柔軟性がない状態で形だけ真似れば、当然リスクは高まります。
体幹の柔軟性を高める「バランスボール」
まとめ
クランチファクターは、それ自体が絶対的な悪者ではありません。飛距離アップには欠かせない要素ですが、それを支えるだけの身体の柔軟性とケアが必要です。
「腰が痛いからスイングを変える」前に、まずは自分の体が正しく動く状態にあるかを確認してみてください。日々のストレッチで強靭でしなやかな体を作り、痛みなく飛ばせるゴルファーを目指しましょう。