「腰をもっと回せ!」そんなアドバイスを真に受けて、腰痛に苦しんでいませんか?
実は、ゴルフのスイングにおいて「腰(腰椎)」は構造上ほとんど回りません。無理に回そうとすれば、怪我をするのは当然です。
理学療法士として多くのゴルファーの体をみてきましたが、スコアアップと怪我予防のカギを握っているのは、腰ではなく「胸椎(背骨の胸の部分)」です。今回は、見落とされがちな「胸椎の安定性」について、最新の研究データを交えて解説します。
科学的根拠:研究データの解説
エビデンス
このデータが示唆しているのは、「胸椎はただ柔らかければ良いわけではない」という事実です。
多くのゴルファーは「回旋可動域(体の柔らかさ)」ばかりを気にしますが、Menzerらの研究が示すように、反復するスイング動作においては「関節の安定性」が欠けていると、たとえ可動域があっても胸椎そのものを損傷するリスクがあるのです。
つまり、飛距離アップと怪我予防を両立させるには、「胸椎を柔らかく使う(可動性)」と同時に「グラグラさせない(安定性)」という、相反する要素を両立させるトレーニングが必要不可欠です。
肋骨の可動性が胸椎の動きを決める
胸椎の動きを良くするために、まず注目すべきは「肋骨」です。腹筋群や広背筋などのアウターマッスルは肋骨に付着しているため、肋骨の動きが硬いと胸椎もロックされてしまいます。
深呼吸をしたときに、肋骨が大きく広がる感覚はありますか?もし動きが悪いなら、まずは肋骨周りの柔軟性を確保することが、スムーズな胸椎回旋への第一歩です。
胸郭・肋骨周りを緩める「ストレッチポール」
「ドローイン」で軸を安定させながら回す
柔軟性を確保したら、次は「安定性」の獲得です。いくら胸椎が動くようになっても、スイング中に軸がブレてしまっては意味がありません。
重要なのは、お腹を凹ませる「ドローイン」を行った状態で、ゆっくりと体幹を回旋させるトレーニングです。これにより、脊柱のインナーマッスル(多裂筋や回旋筋群)が活性化し、関節を正しい位置で安定させることができます。
この「安定した回旋」ができるようになると、いわゆるX-factor(捻転差)が大きくなり、腰への負担を減らしながら飛距離を劇的に伸ばすことが可能になります。
不安定な状況で体幹を鍛える「バランスボール」
まとめ
ゴルフにおいて「腰を回す」という意識は捨て、「胸椎を正しく動かす」ことに意識を向けましょう。
肋骨周りをほぐして可動性を出し、ドローインでインナーマッスルを固めて安定させる。この手順を踏めば、腰痛のリスクを減らしつつ、美しく力強いスイングが手に入ります。長くゴルフを楽しむために、今日から胸椎のケアを始めてみてください!