ゴルフの首回しすぎは危険!脳卒中を防ぐ肩甲骨スイング|理学療法士

「プロのような大きなバックスイングをしたい」そう思って無理に首を捻っていませんか?実はその動き、スコアアップどころか、あなたの命に関わる重大なリスクを潜ませている可能性があります。特にゴルフ中に起こる「脳卒中」は、一般的な加齢によるものとは少し違うメカニズムで発生することが分かっています。

この記事では、理学療法士である私が、医学的な研究データをもとに「なぜゴルフで脳卒中リスクが高まるのか」その原因と、身体の構造に基づいた「安全で飛距離の出る正しい身体の使い方」について解説します。

科学的根拠:研究データの解説

エビデンス

『ゴルフ関連の脳卒中は右側の椎骨動脈由来で頭蓋外での損傷が多い。』
— Choi et al.2014

この研究データがゴルファーにとって何を意味するのか、少し噛み砕いてお話ししましょう。通常、脳卒中(脳梗塞や脳出血)というと、加齢や生活習慣病により血管がボロボロになり、首の前側にある「内頚動脈」が詰まったり破れたりするケースが大半です。

しかし、ゴルフのプレー中に起こる脳卒中は、首の後ろ側を通る「椎骨動脈(ついこつどうみゃく)」の損傷が主な原因であり、しかも「右側」に多いという特徴があります。これは、スイング動作における「無理な首の回旋」が血管を傷つけている可能性を強く示唆しています。

首の可動域は60°が限界!「肩甲骨」で回す技術

日本整形外科学会の基準では、健常者の首(頸部)の回旋可動域は左右ともに参考値で「60°」とされています。つまり、首の骨の構造上、真横(90°)を向くことはそもそも不可能なのです。

しかし、プロゴルファーの上級者のスイングを見ると、顔がしっかり残り、あたかも首が90°回っているように見えますよね?これを形だけ真似て、首の筋肉だけで無理やり顔を残そうとすると、椎骨動脈に過度なストレスがかかり、血管損傷=脳卒中を引き起こすリスクが跳ね上がります。

では、なぜ上級者はあんなに回るのか。答えは「肩甲骨のプロトラクション(外転)」を使っているからです。「前ならえ」をして手を前に突き出す動き、これがプロトラクションです。この肩甲骨の動きをスイングに組み込むことで、首そのものは無理に捻らずとも、顔を残した深いトップやフォローを作ることが可能になります。

肩甲骨の可動域を広げる!セルフケアの決定版

ガチガチに固まった肩甲骨では、この「プロトラクション」の動きは出せません。デスクワークなどで埋もれてしまった肩甲骨を剥がし、スムーズな可動域を取り戻すには、自宅で毎日使えるフォームローラーやストレッチポールが理学療法士としても最も手軽で効果的だと感じます。寝る前の数分、背中に当てて転がるだけでスイングが変わりますよ。
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「脊柱ライン」と「ドローイン」で血管を守る

首の血管を守りながらパフォーマンスを上げるためのもう一つの鍵は、「脊柱(背骨)のライン」です。猫背だったり反り腰だったりと脊柱のラインが歪んでいる状態では、解剖学的にも首の回旋可動域は著しく制限されてしまいます。

骨盤から頭頂部までを一本の美しいラインに保つこと。これには、お腹を凹ませて腹圧を高める「ドローイン」の意識が不可欠です。体幹が安定し、軸回旋がスムーズに行えれば、無理に頭を固定しようとしなくても自然と頭の位置は安定します。

「頭を動かさない」ことよりも、「骨盤・胸郭・肩甲骨」を正しく連動させること。これが重篤な事故を防ぎ、かつ飛距離を伸ばすための最短ルートです。

腹圧を意識し、理想の脊柱ラインを作るサポーター

スイング中に「ドローイン(お腹を凹ませる)」を意識し続けるのは、慣れていないと非常に難しいものです。そこで推奨したいのが、適度な圧迫で骨盤を安定させ、自然と腹圧が入る状態をサポートしてくれる骨盤ベルトや体幹サポーターです。装着するだけで「軸」の感覚が掴みやすくなり、腰への負担軽減とスムーズな回転を同時にサポートしてくれます。
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まとめ

ゴルフは生涯スポーツですが、身体の構造を無視したスイングは、時に取り返しのつかない脳血管障害を引き起こすリスクがあります。重要なのは「首だけで回さない」ことです。肩甲骨の柔軟性と正しい脊柱ラインを意識することで、怪我のリスクを減らすだけでなく、結果としてプロのような美しいスイングに近づくことができます。長く楽しくゴルフを続けるために、まずはご自身の身体のケアから始めてみてください。

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