「ドライバーの『キーン!』という甲高い金属音、毎日聞き続けて耳は大丈夫なのだろうか?」
練習熱心なゴルファーほど、練習場で響き渡る衝撃音による聴力への影響を心配されることがあります。特に屋内練習場や反響の大きい打席では、耳への負担が気になるのも無理はありません。
この記事では、現役の理学療法士が「ドライバーの打球音と難聴のリスク」に関する研究データを紐解き、医学的な視点から解説します。さらに、音から分かるスイングの課題と、身体を守りながら上達するための具体的な対策も併せてご紹介します。
科学的根拠:研究データの解説
エビデンス
『ドライバーによって、インパクトの音圧と周波数は有意に異なるが、116デシベル以下であれば難聴の心配はない。』
— Zhao et al.2014
結論から申し上げますと、通常のドライバー練習において聴力を損なうリスクは極めて低いと言えます。この研究によると、ドライバーの打球音は最大でも約100デシベル(地下鉄の構内レベル)であり、聴覚に永続的なダメージを与えるとされる基準値には達していません。
つまり、音の大きさを過度に恐れる必要はありません。むしろ、私たち理学療法士の視点では、この「音」を上達のバロメーターとして積極的に利用し、スイングの質を高めることに意識を向けるべきだと考えます。
ミスショットの音は「身体の悲鳴」?打点を確認して怪我を防ぐ
難聴のリスクは低いとはいえ、インパクト音が「汚い音(鈍い音や極端に高い金属音)」である場合は注意が必要です。クリアな音が鳴らないのは、芯(スイートスポット)を外している証拠だからです。
芯を外した時の衝撃は、クラブを通じて手首や肘関節にダイレクトに伝わります。これが繰り返されると、いわゆる「ゴルフ肘」や手関節の炎症を引き起こす原因となります。耳を守る心配よりも、関節を守るために「芯で捉える技術」を磨くことが、長くゴルフを楽しむ秘訣です。
打点のズレを可視化する「ショットマーカー」
「なんとなく芯を外している気がする」という感覚だけでは、修正は困難です。フェース面に貼るだけでボールが当たった位置が色付きで分かるショットマーカーを使いましょう。
理学療法士としても、怪我の予防には「正しいフォームで、正しい打点で打つこと」が最も重要だと考えます。どこに当たっているかを視覚的に確認し、衝撃の少ない「芯」でのインパクトを習得するための必須アイテムです。
反復練習による関節負担を軽減するケア
エビデンスにある通り、難聴のリスクはなくとも、練習場での「ペチッ」という芯を外したショットは、身体への負担を蓄積させます。特にマットが薄かったり硬かったりする環境では、ダフリやトップの衝撃が肘に蓄積しやすくなります。
「まだ痛くないから大丈夫」と過信せず、違和感が出る前に予防策を講じることが重要です。特に練習量が多い方は、物理的に関節をサポートするギアを活用しましょう。
衝撃から肘を守る「ゴルフ用エルボーサポーター」
インパクト時の衝撃を吸収・分散させ、肘の腱付着部への負担を減らすサポーターです。理学療法士の視点では、痛みが出てから装着するのではなく、練習中の「予防」として使用することを強く推奨します。
適切な圧迫を加えることで筋肉の無駄な振動を抑え、疲労軽減にもつながります。長くゴルフライフを続けるための投資として、一つ持っておいて損はありません。
まとめ
ドライバーの打球音による難聴のリスクは、科学的には心配ないことが証明されています。むしろ注意すべきは、悪い音が鳴るような「芯を外したショット」による関節へのダメージです。
音を上達のサインとして活用しつつ、自身の身体(特に手首や肘)をいたわる工夫を取り入れてください。長く健康にゴルフを楽しめるよう、理学療法士として応援しています!