「肩の手術をしたら、もう大好きなゴルフはできないのだろうか……」
人工肩関節置換術を検討されている方や、術後の方にとって、これは切実な悩みですよね。
理学療法士として多くの方のリハビリに携わってきた私の経験から言えば、決して諦める必要はありません。手術の種類や状態によって条件は異なりますが、正しい知識とリハビリがあれば、再びグリーンに立つことは十分に可能です。今回は、医学的なデータをもとに、術後のゴルフ復帰について解説します。
科学的根拠:研究データの解説
エビデンス
このデータがゴルファーにとって意味することは非常に明確です。つまり、受ける手術の「種類」によって、ゴルフ復帰へのハードルが変わるということです。
通常の「半肩関節形成術」や「人工肩関節全置換術」であれば、基本的に復帰の許可が出やすい傾向にあります。一方で、「人工逆肩関節全置換術(リバース型)」の場合は、関節の構造を逆にする特殊な手術であるため、脱臼や緩みのリスクが高く、術前に十分な経験があるベテランゴルファーでない限り、復帰が慎重に判断されるということです。まずはご自身の手術がどのタイプなのかを正しく理解することが、復帰への第一歩となります。
復帰へのカギは「インナーマッスル」の再構築
手術の種類に関わらず、術後の肩関節は筋力が低下し、不安定な状態にあります。特に、関節を安定させる「インナーマッスル(腱板)」の機能回復は不可欠です。
私が担当したクライアント様でも、人工肩関節全置換術後に見事なスイングを取り戻された方がいらっしゃいます。その方も、主治医の指示を守りながら地道なリハビリを継続した結果、人工関節とは思えないパフォーマンスを発揮できるようになりました。いきなりクラブを振るのではなく、まずはゴムチューブなどを使った低負荷のトレーニングで、肩を支える土台を作り直すことが遠回りのようで一番の近道です。
トレーニングチューブ
スイング作りは「軽量」から始める
リハビリが進み、医師からスイングの許可が出たとしても、いきなり通常のゴルフクラブでフルスイングするのは危険です。ダフった時の衝撃や、遠心力による負担が人工関節にダメージを与える可能性があるからです。
復帰初期は、実際のクラブよりも軽い練習器具や、素振り用のバットを使用し、「身体の回転で打つ」感覚を養いましょう。腕の力に頼らず、体幹を使ったスイングを習得することは、肩への負担を減らすだけでなく、結果として飛距離アップや安定性向上にもつながります。怪我の功名として、以前より良いフォームを身につけるチャンスと捉えてください。
練習用シャフト
まとめ
ゴルフは生涯楽しめる素晴らしいスポーツです。人工肩関節になったからといって、ゴルフ人生が終わるわけではありません。適切な手術の選択、そして焦らずじっくりとリハビリに取り組むことで、再びフェアウェイを歩く日は必ず来ます。
あなたの「もう一度ゴルフがしたい」という情熱を、理学療法士として全力で応援しています。