「練習後に手首の小指側がズキズキする…」「インパクトで手首に衝撃が走る」そんな悩みを抱えていませんか?実は、ゴルフにおける手首のトラブルは、腰痛や肘痛と並んで非常に多い問題の一つです。
私は理学療法士として、多くのアマチュアゴルファーやアスリートの身体のケアに携わっています。今回は、医学的なエビデンス(科学的根拠)を基に、なぜゴルファーに手首の痛み(特に小指側)が多いのか、その原因と具体的な対策について解説します。
科学的根拠:研究データの解説
エビデンス
このデータが示しているのは、我々が思っている以上に「手首のトラブル」はトッププロでさえ避けられない深刻な問題だということです。特に注目すべきは「リード側(右打ちなら左手)」に痛みが集中している点。スイング中、左手首はクラブを支え、インパクトの衝撃をダイレクトに受け止めるため、非常に大きな負荷がかかり続けているのです。
小指側の痛み:尺側手根伸筋とTFCCの損傷リスク
手首の小指側には「尺側手根伸筋(しゃくそくしゅこんしんきん)」という重要な筋肉の腱や、「TFCC(三角線維軟骨複合体)」というクッションの役割をする軟骨が存在します。これらは、手首を過度に返したり、伸び切った状態でボールを打つなど、無理なスイング軌道によって損傷しやすい部位です。
特に、インパクトで左肘が引けていたり、手元とクラブが一直線になるような形(ハンドファーストが崩れた状態)で打っている方は要注意。腱が脱臼しかけたり、軟骨がすり減ったりすることで、慢性的な痛みに繋がります。一度痛めると治りにくい場所なので、予防としてのサポートが不可欠です。
手首用サポーター(リストガード)
根本原因を絶つ:芯を外す衝撃が手首を壊す
もう一つ、手首を痛める最大の要因が「打点のズレ」です。クラブの芯(スイートスポット)を外してトゥ側やヒール側で打ったり、ダフったりした瞬間、グリップには強烈なねじれの力(トルク)と振動が発生します。この衝撃を必死に支えようとするのが、前述した手首の細かい筋肉や靭帯です。
いくらスイングフォームを気にしても、毎回打点がバラついていては、手首への「交通事故」を繰り返しているようなものです。感覚だけに頼らず、客観的に打点を確認し、芯で捉える技術を磨くことが、結果として最強の障害予防になります。
ショットマーカー(打点確認シール)
まとめ
今回はツアープロのデータに基づき、ゴルフにおける手関節痛のリスクについて解説しました。手首の痛みは「練習のしすぎ」だけでなく、「道具や身体の使い方、そして打点のズレ」から生じます。痛みを我慢してスイングを崩す前に、適切なサポーターの使用や、ショットマーカーを用いた正確なインパクトの習得を行ってください。長く楽しいゴルフライフを送るために、自分の身体を守る知識を持ちましょう。