エビデンス
『 内反変形をした変形性膝関節症に対する大腿四頭筋訓練は疼痛軽減が得られにくい。 』
研究グループ
Lim et al.2008
変形性膝関節症について
年齢とともに膝関節が痛くなる変形性膝関節症は非常に一般的な疾患です。特に女性で、過去に膝の怪我をしたことがある方や、肥満体型の方に多くみられます。とは言うものの、男性ゴルファーには関係がないとも言えません。ゴルフは膝関節の回旋や屈伸運動が多いスポーツで、ゴルファー全般に高齢化も進んでいることから、変形性膝関節症の有病率が多いと考えられます。
変形の予防が重要
今回の研究は変形性膝関節症の症状が悪化する前に予防が重要であるということを示す内容です。変形性膝関節症のリハビリといえば大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)の訓練という程、四頭筋訓練は当たり前のように行われます。もちろん、これは変形してしまってグラグラな膝関節に対して、安定性を改善させるために重要なことです。ただし、今回の研究では、既に変形が進んでしまい、内側にクニッと曲がってしまった膝(O脚変形)に対しては痛みを減らす効果がないということでした。一方、変形が軽度で、内側へ曲がっていない膝に対しては痛みの軽減が得られたということです。言い換えると、変形が進む前に大腿四頭筋を訓練しておけば膝痛を経験することなく、変形を予防することができるということになります。
飛距離を伸ばす大腿四頭筋の筋力強化
変形が進んでしまった方でも手術やリハビリによりゴルフはできますが、できれば膝が変形してラウンドがつらくなる前に、しっかり四頭筋を鍛え変形を予防した方が良いに決まっています。当然のことながら、痛みを我慢してラウンドするよりも、痛みのない膝の方がスコアも良くなるし楽しいラウンドになるはずです。また、大腿四頭筋が強いと、膝を曲げた状態が安定するため、つま先下がりやバンカーショットがずいぶん楽になると思います。飛距離アップにも大腿四頭筋の筋力が欠かせません。
大腿四頭筋の鍛え方
鍛え方はとても簡単です。脚を伸ばして座った状態でつま先と膝の向きを天井向きに揃え、ふくらはぎに伸張感が出るようにつま先を自分の方に向けます。その状態で膝の裏面を床に押し付けるつもりで膝をしっかり伸ばします。伸びている膝をさらに伸ばすつもりでやってください。人によっては踵が床から浮く方もいるかと思いますが、膝関節に痛みがなければ問題ありません。伸ばすことで大腿四頭筋を鍛えることができます。3秒間20回を1セットとして、左右2セットずつぐらいから始めて頂くと良いかと思います。