【ゴルフトレーニングの科学的根拠No.145】膝関節の変形の程度と体幹の代償



エビデンス




『変形性膝関節症の程度により、歩行中の体幹側屈角度が異なる。』




研究グループ




Hunt et al.2010




変形性膝関節症




前回に引き続き、変形性膝関節症の研究です。ゴルファーも膝関節には捻転の力が加わりますので、長くゴルフを楽しむためには、膝関節のメンテンナンスは必要不可欠な要素と言えます。前回は膝関節に痛みがあると、膝の内反モーメント(内側への曲がる力)のかかり方が減少する疼痛回避性の歩行がみられるというのものでした。今回の研究は体幹に着目しています。変形性膝関節症の程度と体幹にはどのような関係があるのでしょうか。




変形性膝関節症と体幹の代償動作




 変形性膝関節症のグレードが大きい方(変形がひどい方)は代償的に体幹を傾けて歩いているようです。変形性膝関節症の程度はK-L分類というものが用いられます。グレード0が正常な膝、グレード1が関節の隙間は正常でも骨の周辺に棘のようなもの(骨棘)ができている状態、グレード2が関節の隙間が正常の100%以下75%以上の状態、グレード3が関節の隙間が正常の50%以下25%以上の状態、グレード4が最も悪く、関節の隙間が正常の25%以下になっている酷い変形です。今回の研究ではグレード3の患者は荷重している脚の方へ体幹が傾き、グレード4の患者は浮いている脚の方へ体幹が傾くということでした。グレード4ともなると相当痛みが強いかと思われますので、荷重が困難になり体幹の代償動作により荷重をコントロールしているものと考えられます。




ゴルフスイングによる膝関節への荷重




 ゴルフスイングでも膝関節には必ず荷重がかかります。テイクバックからトップにかけてはトレイル側の右脚へ、ダウンスイングからフィニッシュにかけてはリード側の左脚へ荷重がかかります。もし膝関節に痛みがある場合は、歩行と同様に荷重のかけ方を変えようと疼痛回避の代償運動が起こります。当然、体幹の回旋がスムーズに行えず、重心の位置まで変わってしまうのでこれは大きな問題と言えます。右側へ荷重したままの状態でスイングすることをハンギングバックと言って、ダメなスイングの典型的なものとなります。




膝関節を鍛えて変形を予防しよう




 痛みを出さずに効率の良い運動をするには、関節をニュートラルな位置で使えるようにコンディショニングする必要があります。ニュートラルな位置にするためには、アウターマッスルである大腿四頭筋長頭、ハムストリングス、下腿三頭筋のストレッチが必要不可欠です。その後にインナーマッスルである大腿四頭筋内側頭、膝窩筋の強化により関節の安定性を高めることが効果的と言えます。