【ゴルフトレーニングの科学的根拠No.126】イップスの有病率とラケットスポーツ


『オンライン調査でのパッティングイップスの有病率は22.4%(研究1)と16.7%(研究2)で、ラケットスポーツの経験がある人の方が多い。』
Klämpfl et al.2015

《中村の解釈》
イップスは精神的な影響により、自分の思っているように運動ができないことの総称と言えます。
緊張して身体が固まってしまうというのもその一つですが、ゴルファーはこれまでと何も変わりなくスイングまたはパッティングしているのに、急に上手く打てなくなってしまうという状態をよく経験するかと思います。
克服するために、様々なドリルを繰り返して、絶対に大丈夫と言い聞かせてプレーしているのではないでしょうか。
それでも、やればやるほど、いざ本番にミスをしてしまうというのがイップスの厄介なところです。

さて、今回の研究ではパッティングにおけるイップスの有病率が22.4%(研究1)と16.7%(研究2)ということでした。
そして、ラケットスポーツの経験がある人の割合が多かったようです。
意外にも数字が小さいと感じるかと思いますが、有病率とはある時点で症状を持つ人のことですから、過去に経験したことがあるという方を調査すれば数字はもっと大きくなるはずです。
ラケットスポーツの経験者は飛んできたボールにタイミングを合わせて、手関節や肘関節の微細なコントロールをしたショットを経験してきた人と考えられます。
止まったボールで、しかも手関節や肘関節をなるべくコントロールさせずに再現性の高い運動をするゴルフショットは全く調子が狂う動作と感じるかと思います。

イップスではなくとも、感情や情動(エモーション)で身体が思うように動かない、反対にいつもより調子が良いということは良く経験されます。
例えば、嫌な仕事をするときはいつもより力が出ず、好きな人が目の前にいる時はいつもより力が出ることがあります。
こうした現象は感情に左右されてしまう脳が原因と考えられます。

運動は脳の命令により調節されて行われますが、錐体路と錐体外路という二通りの命令系統により行われます。
感情によって左右されるのは錐体外路です。
錐体外路が不調な場合には筋肉が勝手に動いたり、逆に固まったりします。
イップスも錐体外路のどこかの不調だと思いますが、要はメンタルなわけですから、ネガティブな印象からポジティブな印象に変換させることが手っ取り早い解決策と言えます。
苦手だと思うシチュエーションを得意だと思うシチュエーションに変えるわけです。
そのためにはドリルではなく、実際に現場に行って成功体験を繰り返すというトレーニングが必要になります。

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