【ゴルフトレーニングの科学的根拠No.139】三角筋後部線維と肩関節内旋制限



エビデンス




『 肩関節内旋制限に三角筋後部線維、棘下筋、小円筋が関与し、なかでも三角筋後部の影響が大きい。』




研究グループ




Hung et al.2010




肩峰下インピンジメント




  肩関節は前から挙上する屈曲、側方から挙上する外転、後方へ腕を引く伸展、脇を閉じる内転、腕を外側へ捻じる外旋、そして腕を内側へ捻じる内旋という運動があります。今回はなかでも内旋運動を制限する因子についての報告です。 No.138では肩関節後方関節包がタイトになることによって肩峰下インピンジメント(腕を挙上した際に肩が痛む)を生じると紹介しましたが、今回はその関節包よりも表在にある棘下筋や小円筋、三角筋という筋肉のお話です。




三角筋後部線維




 今回の研究では、三角筋後部線維、棘下筋、小円筋が肩関節の内旋運動を制限することが報告されています。なかでも三角筋後部線維の影響が大きいとされていますが、実は棘下筋と小円筋は内旋運動とは逆の外旋運動を担うインナーマッスルです。そのため、内旋運動を制限するのは当然のことと言えます。一方、三角筋後部線維は肩関節の伸展運動を主として担うアウターマッスルですが、線維の方向からすると外旋運動にも補助的に関与します。つまり、棘下筋と小円筋は内旋運動に対して真っ直ぐに伸張することができますが、三角筋後部線維は内旋運動に対して遠巻きに巻き込まれた状態で伸張することになるため、制限が強くなると考えられます。




ゴルファーの肩痛予防




 さて、これがゴルファーにとって如何に問題になるかということですが、実は肩関節後方関節包よりも三角筋後部線維の方が簡単にタイトになりやすく、肩峰下インピンジメントの原因因子になりやすい可能性があります。肩関節後方関節包がタイトになると、肩関節のなかで上腕骨の頭の部分が前方や上方に偏位することで肩峰下インピンジメントを生じますが、表在にある三角筋後部がタイトになっても同様のことが考えられます。つまり、三角筋後部を柔軟にしておくことで、肩峰下インピンジメントを予防できるのです。また、三角筋後部線維はテイクバックやフォローのタイミングで十分な柔軟性が必要で、タイトなままだとスイングアークが小さくなってしまいます。




クロスボディストレッチ




 幸いなことに、関節包よりも筋肉の方が圧倒的に伸びやすく、三角筋後部線維はNo.138で紹介したクロスボディストレッチで伸ばすことができます。胸を正面に向けたまま、伸ばしたい側の腕を90°挙上し、反対の手で腕を胸に押し当てます。伸びにくい人は少し引っ張りながら押し当てると伸びるはずです。ゴルフの上達にも、肩痛の予防にも必須のストレッチになるので、是非、毎日実践してください。